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設立直後に1億円の資金調達を実施した「大物ルーキー」HEROZが9年の時を経て「人工知能」でメジャーデビュー(IPO)

先日テレビで羽生さんと藤井くんの対局の解説番組を見てたんですよ(ちなみに僕は将棋とても下手です)。藤井くんが羽生さんを破った一局ですが、解説されるとお互いの心理状況とか面白いですね。羽生さんが圧倒的不利な状況に追い込まれた場面で「Ponanzaがこういう一手があると言っている」と山本さん(Ponanza開発者)が発言し、「人類は絶対に打ちたくない一手」みたいなことを言ってて面白かった。

羽生さんと言えば、1996年において「コンピュータがプロ棋士を負かす日は?」という質問に対し、「2015年」とほぼ正確にその時を言い当てたとして知られるわけですが、このままこの話を続けていくと将棋の話で終わってしまいそうな予感がするので、この辺で。今回はHEROZの話がしたいのですよ、僕は。

人工知能(AI)関連事業のHEROZにマザーズ上場承認がおりました。前述のPonanza山本さんなども所属する人工知能関連会社の雄HEROZ。10期目での上場ということで、これまでいろいろとあった沿革を見てみましょう。

HEROZ

元々NECの同期入社であった林氏と高橋氏が2009年に独立してできたのがHEROZ。NEC在職中から個人で携帯サービスをいくつも作っていた両氏が携帯公式コンテンツの次のプラットフォームとして注目したのが「mixi」です。HEROZ設立半年後にmixiプラットフォームへのアプリ提供を開始します。

その前に設立直後に1億円の資金調達を行っている点にも注目したい。2009年と言えば世の中かなり冷え込んでいた時期。その時のCNETの記事(岩本記者!)の冒頭を引用。

ITベンチャーへの投資の話題が少ない中、ジャフコ、モバイル・インターネットキャピタル、ジェービィックベンチャーキャピタル、BIGLOBEキャピタルを割当先に1億円という大型の第三者割当増資を発表したHEROZ(ヒーローズ)。
https://japan.cnet.com/article/20395535/

「ITベンチャーへの投資の話題が少ない」「1億円という大型の第三者割当増資」という二つのフレーズに注目。ほんとにこの頃は資金調達の話は少なく、またあったとしても数百万から数千万がいいとこであった。昨今では資金調達のニュースに溢れ、また「数千万しか集められなかった」などと勘違いした起業家の発言もあったりするわけだが、かつてはこういう氷河期もあったんだよーということを知っておいてもらいたいところ。そしてそんな時期に設立直後のベンチャーが1億円調達ってのは今考えるとかなり「異常」なことだなと。いかにHEROZが「大物ルーキー」だったかがわかりますね。

そんなこんなでmixiアプリの提供を開始したHEROZ。すぐにトップクラスの実績を上げ、期待に応えていきます。熱狂するmixiアプリに僕も少し興味を持っていて、当時なんとなく調べたデータがあるので、ここで少し紹介してみようと思います。

HEROZ

HEROZ

懐かしいですね、懐かしいですね!まだこの頃は「ブラウザ三国志」は無かったんですかね。「サンシャイン牧場」の全盛期かー。「サン牧」的なゲームを2008年か2009年に紹介されたことあるんですよ。「中国で流行ってるんですよ」って。で、ゲームを見てみたんですが、「いやいや、これは日本では流行らないっすよwww」みたいなことを言ってたのを思い出します。

2009年11月時点でHEROZは第三位の利用者数だったようです。まさに絶好調、滑り出し最高といった感じのHEROZ。しかしmixiアプリの時代は長くは続かず、世の中はGREE、モバゲーの「ソシャゲ」時代に突入していきます。

しかしソシャゲの時代も2012年の「コンプガチャ」騒動、完全なるスマホシフトにより終わりを告げます。そんな中でスマホネイティブアプリとしてリリースしたのが現在の主力の一つである「将棋ウォーズ」です。この「将棋ウォーズ」には前述のPonanzaが搭載されており、本格的人工知能搭載型ゲームとして、3億局を突破するなど人気を博しています。

またPonanzaは2013年に史上初めて「コンピュータがプロ棋士に勝利」し、2017年4月には現役の名人に勝利するなどの輝かしい実績をあげています。

その他にも「ポケモンコマスター」など人工知能を活用したゲーム、金融、人材、建設などの分野に人工知能サービスを提供するなど法人向けサービスも拡充しており、収益の安定化を実現していってような感じ。ここ5年の業績推移を見ると、上場目論見書ではあまり見かけないような波形の推移ですが、上記のように法人向け売上が拡充されてくると安定化していくと思う。


というわけでいろいろと見てきましたが、創業者二人で70%の株を保有している中、モバイルインターネットキャピタル(MIC)が8.44%と高いシェアを持っています。また創業者二人のルーツであるビッグローブ(NEC)も第5位の大株主。MICとビッグローブはHEROZ設立直後の資金調達時に出資したVCなわけで、丸9年保有した株がようやく花開いたという。持ってるもんですね。

2016年のバンナム以降の調達ではCB(新株予約権付社債)なのも気になるポイント。なんでCBなのかはわからないですが、皆さん転換されたようで何よりです。


無駄に長い記事になってしまいましたが、この辺で。誰か将棋しましょう。



【参考記事】
東京証券取引所マザーズ市場への上場承認に関するお知らせ
モバイルコンテンツ制作のHEROZ、ジャフコなど4社を引受先とした第三者割当増資
HEROZ、第三者割当により1億円の資金調達を実施
天才棋士・羽生善治が見た人工知能の可能性。そして、人間に突きつけられる課題とは



時価総額3兆705億円!ヤフー元起業家執行体制へ



時価総額3兆705億円の大企業ヤフーから「新執行体制」への移行が発表されました。

新執行体制への移行および代表取締役の異動(内定)ならびに定款の一部変更に関するお知らせ

宮坂さんが代表権の無い取締役会長になり、川邊さんが代表取締役社長になるようです。また宮澤さん、小澤さんなどの「元起業家」が常務執行役員に昇格と、数年前の宮坂新体制をさらに一歩踏み込んだ形になった感じ。

執行役員が多すぎて、まとめきれなかった感ありありですが、上記の図のような体制に。元起業家集団という様相に。以前記事にもしたPIMやシリウス、ビズシークなど伝説的なベンチャーを生み出した人達による新ヤフー。また「爆速」が見られるのか楽しみです。


【関連エントリー】
伝説のジョイントベンチャー「PIM」を調べてみた
小澤さん率いるYJキャピタルのポートフォリオと「総研」の高打率
30年前に夢見た世界を今なお追い続ける「元大学生ベンチャー」の仲間達【リョーマ×SYN30周年イベントレポ】


【メモ】
川邊 健太郎 電脳隊→PIM/宮澤弦 シリウス/小澤隆生 CSK→ビズシーク→楽天→小澤総研→クロコス→ヤフー/藤門千明 筑波大学院/本間浩輔 野村総研→スポーツナビ/坂上亮介/志立正嗣 凸版印刷→POVアソシエイツ/森健/片岡裕 ニフティ 2005年ヤフー/津森暁史 武蔵美卒→デザイン業、飲食店経営→2007年ヤフー→2011年ドワンゴ→2012年ヤフー/田辺浩一郎 朝日生命保険→2000年ヤフー/佐々木潔 東大→富士通→(Microsoft出向)→コンサルティングファーム→ミラクル・リナックス→2008Yahoo! Inc.→2009年ヤフー/秀誠 ラジオ、TV番組等の制作、イベント企画運営、アーティストプロモーション→2002ヤフー/中山一郎/梅村雄士 全日本空輸(現ANAホールディング)→2004ヤフー/谷田智昭 オリエントコーポレーション→2003年ヤフー/仲原英之 2003年ヤフー/塚本浩司 富士通研究所→2009年ヤフー/瀬越俊哉/湯川高康 2003年ヤフー入社/西田修一 2004年ヤフー入社 トップページの責任者、検索事業責任者/田中祐介 電脳隊→PIM→フラクタリスト→ピド→2012年ヤフー




知るひとぞ知る「らくらく連絡網」のイオレが上場するみたいだよ

先週末に上場承認おりたイオレという会社があるのですが、みんなあまり触れないので触れてみようと思います。このイオレ社の主力事業は『らくらく連絡網』です。10年近く前だったような気がしますが、この『らくらく連絡網』のことを知って「へー、こういうサービスって需要あるんだなぁ」と思った記憶があります。なつかしい。まさか上場するとはそのときは思わなかった。

イオレ上場

直近の業績はこんな感じ。今期17期になりますが、着実に売上高を伸ばしています。昨期は売上高11.5億円、経常利益1.1億円。今期は14億円前後の売上になるんじゃないっすかね。

気になったのが「らくらく連絡網って伸びてるの?」ということ。LINEとかFacebookとかで代替できそうな気もするけど、と素人の僕は思ってしまったのです。

イオレ上場

これが直近の販売高比率の推移。2016年3月期は『らくらく連絡網』の直接的販売高が構成比では一番大きくて3億円くらい。それにDSPサービスの『pinpoint』、大学生向けの短期バイトサービス『ガクバアルバイト』と続きます。

翌2017年3月期は『らくらく連絡網』の比率はグッと下がってしまい、販売高も2.25億円に。そのかわりに『pinpoint』と「その他」が伸びてる。『pinpoint』は『らくらく連絡網』やその他提携メディアのデータから広告配信するDSPで、今年は凸版と資本業務提携したので『Shufoo!』のデータも使えるのかな?

目論見書にも経営戦略として「『らくらく連絡網』会員データベースを活かしたサービス事業の増強」と書かれてる通り、事業のベースは『らくらく連絡網』であることは今後も変わらないわけで、いかにそこの維持、強化できるかがポイントなのかなぁと。あとは他媒体との連携ですね。

販売高が伸びている「その他」は他求人広告、他媒体広告、セールス・プロモーション、学校連絡
網などとのこと。SPと学校連絡網、ガクバもそうですが、大学に深く入り込んでいるっぽいなぁ。


とにかく個人的にはとても気になる会社ということで少し調べてみましたー。



【関連エントリー】
WeWorkが日本に進出するっぽいけど、日本の貸会議室、シェアオフィス会社も盛り上がってるっぽいよ!
SEO界隈に長年いる皆さんには馴染みのあるディーエムソリューションズが今月上場します
Fringe81に上場承認おりたので沿革をふりかえってみた